誰にでも経験があることです。
同僚、新しい知り合い、または友人の友人と会話をしている最中に、突然会話の流れが止まる。言葉が途切れ、沈黙が気まずく長引いてしまう。
いわゆる「気まずい沈黙」です。
多くの人は、雑談が得意な人は生まれつき話し上手で、カリスマ的な魅力を持っていると思いがちです。
しかし、実際には社交的に知的な人は単なる話術に頼っているわけではなく、会話をスムーズに進めるためのシンプルなフレーズをいくつか持っています。
そして、これは誰にでもできることです。外向的である必要も、会話の達人である必要もありません。ただ、適切なフレーズを知っているだけで、気まずい沈黙を避けることができます。
ここでは、雑談をスムーズに進め、会話の流れを止めないための8つのフレーズを紹介します。
1) 「それ、面白いですね！どうして始めたんですか？」
人は自分のことを話すのが好きですが、それを自然に引き出すのは意外と難しいものです。
会話が行き詰まりそうになったときは、相手の興味や経験について質問すると、一気に活気が戻ります。ただ「へえ、すごいですね」と反応するのではなく、一歩踏み込んでみましょう。
このフレーズが効果的なのは、相手に興味を持っていることを示しつつ、無理に話させようとしないからです。また、相手が話す内容の幅を自由に選べる点もポイントです。
仕事の話でも、趣味でも、飲み物の選び方でも、この質問をすることで相手が自分のことを語りやすくなり、会話が自然に続きます。
2) 「ずっとやってみたかったんですが、何から始めればいいのか分からなくて！」
好奇心を示すことは大切ですが、自分のことを少し話すことで、会話をより自然で魅力的にすることができます。
以前の私は、常に何か興味深いことを話さなければならないと思っていました。でも、実は「知らないことを素直に認める」ことで、素晴らしい会話が生まれることに気づきました。
たとえば、ある日ロッククライミングに熱中している人と話したときのこと。ただ頷いて聞いているだけではなく、「ずっと興味はあったんですが、どこから始めればいいのか分からなくて…」と正直に言ってみました。
すると、その人は自分が最初に登ったときの話や失敗談を語り始め、最終的には「一緒に行ってみませんか？」という流れに。
人は、自分の知識や経験を誰かと共有するのが好きです。特に、「誰かの役に立っている」と感じたとき、より話しやすくなるのです。
3) 「それで思い出しましたが、こんな言葉を聞いたことがあります。[○○] ってどう思いますか？」
マヤ・アンジェロウはかつてこう言いました。
「人はあなたが言ったことも、あなたがしたことも忘れる。でも、あなたがどのように感じさせたかは決して忘れない。」
雑談は単なる言葉のやり取りではなく、相手との「心地よい時間」を作ることが大切です。
興味深い名言や考えを持ち出すことで、会話を深めるきっかけになります。
たとえば、誰かが仕事の悩みを話していたら、「そういえば、こんな言葉を聞いたことがあります。『自分が一番賢いと思う部屋にいるなら、その部屋は間違っている』。これについてどう思いますか？」と投げかけると、自然に話が広がります。
有名な名言でなくても、友人の言葉、本や映画のセリフでもOK。大事なのは、相手がそれに対して考え、反応できる余地を作ることです。
4) 「そういえば、[○○] って聞いたことがあります。気にしたことありますか？」
時には、ちょっとした驚きや新しい情報が会話のきっかけになります。
たとえば、私は「人は無意識のうちに相手のボディランゲージを真似する」という話を聞いたことがあります。それ以来、友人や同僚が無意識に同じ姿勢を取る場面をよく観察するようになりました。
このような小さな発見や豆知識をシェアすると、相手も「そういえば…！」と気づきを得たり、面白い話を返してくれることがよくあります。
人間の行動、文化、食べ物の意外な事実など、ちょっとした「へえ！」と思う情報を入れると、会話が自然に広がります。
5) 「そんな考え方があるとは思いませんでした。すごく面白いですね！」
会話が途切れる理由は、単に話題が尽きるからではなく、相手が「ちゃんと聞いてもらえている」と感じられないことも関係しています。
誰かの意見に対して、本当に興味を持っていることを示すことで、会話を続けることができます。
「そうですね」と軽く流すのではなく、「そんな視点はなかったです！面白いですね！」と反応することで、相手もさらに話を広げたくなるのです。
6) 「確かに、それは考えたことがなかったです。」
人は「話を聞いてもらいたい」と思っているだけではなく、「自分の意見が価値のあるものだと感じたい」と思っているものです。
誰かが自分の考えを話したとき、ただ「なるほど」と流すのではなく、「確かに、それは考えたことがなかったです！」と反応すると、相手は「ちゃんと聞いてもらえている」と感じます。
このフレーズが効果的なのは、「あなたの視点は新鮮で、興味深い」というメッセージを伝えられるからです。
以前、ある人と「音楽と思い出の関係」について話していたときのこと。その人は、「特定の曲を聴くと、まるでタイムマシンのように過去の記憶が鮮明によみがえる」と言っていました。
私は単純に音楽を「楽しむもの」として捉えていたので、その視点はとても新鮮でした。「それは考えたことがなかったです！」と伝えると、相手は嬉しそうに、自分の経験をさらに深く語ってくれました。
このように、相手の話を本当に受け止めていることを示すだけで、会話はぐっと自然に広がります。
7) 「分かります。その気持ち、すごくよく分かります。」
ときには、雑談を続けることよりも「相手に寄り添うこと」が大切になります。
誰かが自分の気持ちを話しているとき、ついアドバイスをしたくなるかもしれません。でも、実際には「解決策」よりも「共感」のほうが、相手にとっては心地よい場合が多いのです。
たとえば、ある友人が「新しい仕事を始めたばかりで不安だ」と話していたことがありました。以前の私なら、「大丈夫だよ！すぐ慣れるよ」と励ましていたかもしれません。でも、そのときは「分かります。その気持ち、すごくよく分かります」とだけ伝えてみました。
すると、友人は少しリラックスした表情になり、「そうなんだよね、本当に緊張するんだよ」とさらに気持ちを打ち明けてくれました。
このフレーズが持つ力は、「相手が自分の感情を認めてもらえた」と感じること。会話の中でこのような瞬間を作ることで、自然と心の距離が縮まり、話も深まっていきます。
8) 「それを聞いて思い出したんですが…」
会話が途切れそうになったときに最も効果的なのは、「共通の話題を見つけること」です。
相手が話したことに関連するエピソードを共有すると、会話が自然に続きます。ただし、ここで重要なのは「話の主導権を奪わないこと」。
たとえば、誰かが「海外旅行中に道に迷った話」をしたとします。ただ「へえ、大変だったね」と返すのではなく、「それを聞いて思い出しましたが、私も昔、海外で道に迷ったことがあって…」と話すと、自然に会話が続きます。
ポイントは、「自分の話をすること」が目的ではなく、「共通の経験をきっかけに、会話を広げること」です。
私は以前、イベントで知り合った人が「スマホの電波がない状態で海外で迷子になった」という話をしていたとき、「実は私も似た経験があって…」と話したことがあります。そこから、お互いの旅行エピソードを交換する流れになり、気づけば30分も話し込んでいました。
人は、共通の経験を通じてつながりを感じるものです。雑談の中で「それを聞いて思い出したんですが…」を活用すれば、会話を自然に盛り上げることができます。
まとめ
会話が上手な人というのは、必ずしも「話がうまい人」ではありません。本当に大切なのは、「相手を心地よくさせること」。
雑談をスムーズに続けるためには、適切なフレーズを使うだけでなく、「相手に興味を持つこと」「相手が話しやすい環境を作ること」が重要です。
この8つのフレーズを使うことで、気まずい沈黙を避けるだけでなく、会話がより楽しく、意味のあるものになります。
デール・カーネギーはこう言いました。
「2か月で多くの友人を作る方法は、他人に興味を持つこと。2年かけて自分に興味を持たせようとするより、はるかに効果的だ。」
本当に会話を楽しむコツは、「話すこと」ではなく「聞くこと」。相手に興味を持ち、共感し、自然なつながりを作ることで、雑談はもっと楽しく、スムーズになります。
雑談は、特別なスキルではありません。ちょっとしたコツを知っているだけで、誰でも上手にできるようになるのです。
