スマートウォッチだけで1週間過ごしてみた結果

自分から進んでスマホを手放すなんて、考えたこともありませんでした。

スマホは今や、財布であり、ナビであり、スケジュール帳であり、正直なところ「心の支え」ですよね。

でも、ある統計を目にして衝撃を受けました。

「人は1日に平均96回スマホをチェックする」

いや、もっと多いという調査結果もあるらしい。これを知ったとき、自分がどれほど無意識にスマホを触っているのかを改めて考えました。そして、もしスマホがなかったら、生活はどんなふうに変わるのか気になり始めたのです。

そこで、思い切って実験してみることにしました。

1週間、スマホをスマートウォッチに置き換えて生活する。

まるで糖質制限を始めるときのような気分でした。ワクワクと不安が入り混じる感じ。

スマホは家の引き出しにしまい、緊急時以外は使わない。

唯一の通信手段は、通話とメッセージ機能があるスマートウォッチだけ。

さて、どうなったのか——その結果をお話しします。

無意識にスマホを探してしまう

初日から、自分の体がスマホに慣れすぎていることを痛感しました。

数分おきに、無意識にポケットを触ってスマホを探してしまうのです。でも、そこにスマホはない。まるで片腕を失ったような感覚でした。

そして、すぐに気づいたことがひとつ。

「今すぐチェックしなきゃ」と思っていたことの大半は、実は全然急ぎじゃなかった。

例えば、友人と話している最中に「ちょっとメッセージを確認しよう」と思うことが何度もあったのですが、それが本当に必要なことだったかというと、そうでもない。スマホがないことで、いかに無意識に気が散っていたのかがよく分かりました。

スマートウォッチの制限は「不便」だけど「自由」でもあった

今回使ったスマートウォッチの機能はかなりシンプル。

通話・メッセージの確認、天気予報のチェック、それくらい。

SNSなし、スクロール中毒なし、常に流れてくる情報なし。

正直、最初は「不便すぎる…」と思いました。

スーパーのレジ待ちの間、手持ち無沙汰になったり。普段ならニュースを読んだり、適当な動画を見たりしていたのに、それができない。

でも、少しずつ気づいたんです。

「ぼーっとする時間って、意外と悪くないな」と。

周りの人と目が合ったら微笑んでみたり、ただ何も考えずにその場の雰囲気を感じてみたり。

スマホがないことで、「何かしなきゃ」というプレッシャーがなくなり、ただその瞬間を楽しめるようになったのです。

「スマホがないと不便!」と本気で思った瞬間も

もちろん、不便を感じる場面も多々ありました。

たとえば、スマートウォッチで長文を打つのは、まるで「瓶の中に船を作る」ような細かい作業。ひとこと返信するだけでも一苦労です。

それから、地図アプリが使えないのも痛かった。スマホのナビがないと、目的地まで行くのが一気に難しくなる。結果的に、ロンドンの街を思いがけず「観光」する羽目になりました。

また、「ちょっと調べたいことがある」と思ったときに、スマホがないとすぐには答えが得られません。レストランの営業時間や電車の時間、ちょっとした雑学——これらをすぐに調べられないのは、思っていた以上に不便でした。

でも、そのおかげで**「何でもすぐに知る必要はない」と受け入れる気持ち**が生まれました。

結果的に、より計画的に行動するようになり、「分からないことはあとで調べればいい」と割り切れるようになったのです。

人との会話が変わった

食事中、みんなのスマホがテーブルの上に置かれている光景をよく見かけますよね。

その場にいるようで、半分は別の世界にいる——そんな感覚。

でも、スマホなしで過ごしてみると、「ちゃんと人と向き合う」ことができるようになりました。

スマートウォッチは通知が来てもチラッと確認するだけ。緊急でなければ、あとで返信すればいい。

そのおかげで、友人の表情や声のトーンにいつも以上に意識を向けることができました。

「誰かが好きなことを話しているとき、目が輝く瞬間」とか、
「カフェのBGMが会話の雰囲気を左右する感じ」とか。

そういう、小さなことに気づけるようになったのは、大きな発見でした。

頭の中がクリアになった

スマホがあると、暇な時間をすぐに「何か」で埋めようとしてしまいます。

電車を待っている間、移動中、何気なくSNSを開いてしまう。

でも、スマートウォッチしかないと、そういう**「スキマ時間」**がそのまま「脳を休める時間」に変わりました。

ちょっとした空白の時間があるだけで、考え事をしたり、昔読んだ本の内容を思い出したりする余裕が生まれるんです。

実際、退屈を感じることは、創造力を高めるとも言われています。

イギリスのセントラル・ランカシャー大学の研究では、「退屈は新しいアイデアを生み出すきっかけになる」と示されています。

確かに、スマホの情報洪水から解放されると、思考が自由になった気がしました。

1週間後の結論

正直に言うと、この実験は「最高!」というわけではなかった。

地図が使えず迷ったり、仕事の連絡が不便だったり、ストレスを感じることもあった。

でも、それと同時に、デジタルの雑音から解放される心地よさも味わえました。

この1週間で、スマホを触る時間がいかに多いかを実感し、「意図的に使うことの大切さ」を学びました。

スマホを捨てる必要はない。でも、使い方をデザインすることはできる。

今後は、通知をオフにする時間を作ったり、食事中はスマホを見ないようにしたり、「使う時間を決める」習慣を取り入れるつもりです。

もし気になるなら、1日だけでもスマホを手放してみては?

少し不便かもしれませんが、意外な気づきがあるかもしれませんよ。

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